北海道農業協同組合中央会
会 長 飛 田 稔 章
組合員並びにJA役職員の皆様方には、希望に満ちた平成26年の新春を迎えられますことを心よりお慶び申し上げます。
昨年の北海道農業は、天候不順により一部地域で農作業や生育の遅れが生じ、台風や大雨等の被害にも見舞われました。
そのような中、各種課題を克服しながら、一年間の営農にご尽力されたことに対して、改めて敬意を表します。
平成25年は、国内外ともに、まさに激動の年でありました。
TPP交渉につきましては、3月の交渉参加表明以降、交渉参加反対のもとで、関係機関・団体と連携をはかりながら、各種運動を展開致しました。
かねてより懸念していたとおり、情報開示が極めて不十分な中、秘密裏に交渉が進行し、予断を許さない不透明な状況が続いておりますが、自民党並びに衆・参農林水産委員会の決議を順守し、状況によっては脱退も辞さない覚悟のもと、それぞれの国の事情に十分配慮した対応がなされるよう、政府・与党への強力な働きかけと併せ、国民世論形成に向け粘り強い運動を展開していく必要があります。
過般、政府は我が国農政の柱のひとつである米政策を大きく転換し、それに伴い各種助成金体系や経営所得安定対策の見直し、日本型直接支払制度の創設等がなされました。
短兵急な政策転換に対して、生産現場では不安と混乱が渦巻いておりますが、改めて生産現場における取組み状況を十分検証しながら、生産者が意欲と将来展望を持って経営展開ができるよう、より実効性のある仕組みを確立していくことが重要であります。
また、政府は成長戦略の実現に向けて、農業・JA改革を課題のひとつに取り上げ、産業競争力会議や規制改革会議等において関連する議論を行っております。
これら規制改革の動きに関しては、農業の役割や生産現場の実態に関する基本的な認識が十分でないことに大きな原因があり、北海道のような農業専業地帯の実情やJAグループの取組み状況等を十分踏まえた議論がなされ、本道農業の持続的発展に資するような政策が確立されるよう、働きかけを強化していく必要があります。
平成24年11月に開催した第27回JA北海道大会において、「持続可能な北海道農業の実現」と「次代を担う協同の実践」について決議致しました。
平成26年度は実践2年目にあたりますが、時代の変化を踏まえた中で、JAグループの組織・事業機能の充実強化に向けた自らの取組みを進めつつ、一般消費者に対する情報発信を行いながら、本道農業並びにJAの強力な応援団づくりを進めていくことが重要であります。
国内外の情勢がめまぐるしく変化している昨今でありますが、今一度足元を見つめ直し、生産者の方々をはじめJAグループ関係者の意志と知恵を結集した中で各種課題を乗り越えていくという強い信念と実行力が求められています。
現在の地域農業やJAの基盤を築いた我々の先人も、その時々の時代背景のもとで、さまざまな困難に立ち向かってきたものと存じます。
当然のことながら、JA・連合会も「組合員の営農と生活を守り向上させる」という目的を踏まえ、最大限の努力を傾注していかなければなりません。
さて、過般、日本の「和食」がユネスコ(国際教育科学文化機関)の世界無形文化遺産に登録される見通しであるとの動きがありました。
我が国の食文化の素晴らしさが世界的にも認知されたわけですが、そのことは、素材である我が国の農畜産物が評価されたといっても過言ではなく、日本の食料供給基地である北海道の果たす役割も極めて大きなものがあると存じます。
国民の命に直結する農業は、我々の先代が永きにわたり、労苦を惜しまず築き上げてきたものであり、その役割・重要性は将来にわたり、いささかも変わるものではありません。
農業は、国家百年の計に立った中で、将来にわたり引き継いでいくべき重要な産業であり文化であります。
今年の干支は、午年(うまどし)です。予断を許さない情勢が続いておりますが、馬のごとく力強く、また、さっそうと駆け抜けていく気概をもって頑張りましょう。
結びになりますが、本年が天候に恵まれ実り多い年となりますよう、併せて、北海道農業並びにJAグループ北海道の一層の発展を心よりご祈念申し上げ、新年にあたってのご挨拶といたします。