乳頭が傷んでいませんか?
乳頭には菌が簡単に入らない仕組みがありますが、乳頭口が何らかの理由で傷んでしまうと機能が低下し、乳房炎の原因となる菌の侵入を許してしまいます。
今回は乳頭の傷みと改善について考えてみましょう。
1.乳頭が傷んでいるサイン
乳頭が傷んでいるサインには次のようなものが見られます。
- 搾乳になると落ち着かない。
- 乳頭の皮膚が乾燥し、ひび割れている。
- 乳頭を拭くときに、張っているのとは違う芯があるような感じがする。
- 乳頭口の周りが盛り上がってきている。
- 牛がユニットを蹴り落とす。
- ミルクフィルターに血が付着する。
2.乳頭が傷む原因を取り除く
乳頭が傷む現象の多くは搾乳時に見られます。
《考えられる原因と対策》
- 清拭用殺菌剤の濃度が高い
→濃度の適正化 - ユニットをつけるタイミングが悪い(早すぎ、遅すぎ)
→タイミングの改善 - 搾乳前の乳頭刺激が不十分
→前搾りをしっかり行う - マシンストリッピング
→なるべく控える - ライナースリップ
→ライナーロ径の見直し、劣化したライナーの取替 - ミルカーの真空圧が規定よりも高すぎるか低すぎる
→定期的なミルカー点検とメンテナンス
既に傷んでいる乳頭には保湿効果の高いディッピング剤を使用して下さい!
3.乳頭改善事例
搾乳手法の改善により、傷み始めていた乳頭が回復した事例を紹介します。
◆A牧場の概要と取組内容
- フリーストール
- ミルキングパーラー
- パラレル12頭ダブル
- 150頭搾乳
- 搾乳者3~4名
◆搾乳のタイミングが良好に
取組前は乳頭に触れてからユニット装着まで3分かかっていましたが、取組後は1分になりました。
搾乳時間も8分だったものが5分程度になり、牛の泌乳生理に合う搾乳となりました。
◆乳頭の変化
取組前と耿組後5ヶ月の乳頭を比較したところ、5ヶ月後には傷みが見られなくなりました。(下写真)
農場からは清拭を嫌がる牛が減った事と搾乳時間が短くなっても乳量が減っていないとの声が聞かれました。