乳質改善はもうかる その2
~乳頭先端の保護~
乳頭先端が傷むと、菌が容易に乳房内に侵入しやすくなります。
その結果、乳房炎になるリスクが高くなります。
乳頭先端を保護し、乳房炎になりにくい管理を心がけましょう。
1.乳が搾られる仕組み
ミルカーの吸引力のみで搾乳できるのは、乳房内の約4割の乳と言われています。
残りの6割の乳は、前搾りや乳頭清拭などの乳頭の刺激により、脳から放出されたオキシトシンというホルモンの働きによって、乳房に押し出された乳をミルカーによって吸い出されたものです。
2.乳頭先端を確認しましょう
乳頭先端の状態を観察することにより、搾乳手順やミルカーが正常に稼働しているかを判断できます。
最後の一滴まで搾ろうと、ミルカーを掛けすぎていると、乳頭口が開いたり、突出・ひび割れするなど、乳頭先端が傷つきます(写真一)。
3.乳頭先端の保護対策
(1)ミルカーを掛けすぎない
オキシトシンは刺激が始まっておおよそ60~90秒後にピークに達し、その4~5分後、オキシトシンの量は徐々に減少します。
この限られた時間内で搾乳を行わなければ過搾乳となり、乳頭先端の負担は大きくなります。
前搾りを行わなかったり、搾乳刺激が弱いと、オキシトシンの分泌が少なく、ミルカーの吸引力で無理に搾乳するため、搾乳時間が長くなりやすいです。
(2)定期的なライナーゴムの交換
ライナーゴムを交換時が過ぎても使い続けると、弾力性が低下し、乳頭のマッサージ効果が低下し、過搾乳の原因ともなります。
メーカー指定の使用回数に従い、定期的な交換をしましょう。
(3)ストレスを与えない
牛を叩いたり、怒鳴りつけたりして牛に恐怖感を与えたり、不適切な搾乳によって牛が痛みを感じると、オキシトシンの働きが抑制されます。
その結果、長い時間ミルカーを掛けることになるので、乳頭先端を痛めます。
次のことに注意しましょう。
- 怒鳴ったり、棒で叩いたり、足で蹴って、牛を起き上がらせたり、移動させる
- 牛舎を走り回ったり、大きく手を振る
- 牛の死角(真後ろ)に立つ
- ミルカーの設定真空圧が高すぎる
- 真空圧の変動の多い搾乳(マシンストリッピング、ライナースリップ、エアをたくさん吸わせての装着)
- 長時間パーラー待機室に入れておく
- 搾乳従事者の搾乳作業手順が統一されていない
内容に関してご不明な点がありましたら、普及センターまでご連絡下さい。