乳質改善は儲かる その3 ~乾乳期の予防~
乳房炎の新規感染の危険性は泌乳期よりも乾乳期の方が高いと言われています(図1)。
中でも、乾乳始めの2週間と分娩前2週間の新規感染率は高く、この期間の感染をどれだけ減らせるかが予防の鍵となります。
1.乾乳期を迎える際に
乾乳予定日の1~2週間前に全頭PLテストを行いましょう。
特に、黄色ブドウ球菌に罹患した事のある牛は早めにPLテストを行い、1回目が陰性でも数日空けてから再びテストを行うなど入念に確認をしましょう。
~PLテストの結果~
●陰性(-)の場合
乾乳の際に乾乳軟膏を注入しましょう。
乾乳軟膏の持続期間はおおよそ3~4週間なので、新規感染率の高い乾乳始め2週間に対する予防効果が期待できます。
○陽性(+)の場合
乾乳にする前に治療が必要です。
必ず治癒を確認してから乾乳にしましょう。
◆PLテストを行う際の注意点
・適正量で検査する
検査乳2mlに対し、試液も2ml使用(専用ポンプ2プッシュ分)
・薬液と混和後、1分程度に凝集と色調を判定する
長時間放置(1時間~)したものは反応に変化が起きているため判定に利用不可
◆黄色ブドウ球菌(SAと略)対策は念入りに
SAは治りにくく、伝染性のため、罹患牛は隔離し、最後に搾るなど搾乳方法には注意しましょう。
場合によっては淘汰も必要です。
治療の際には抗生物質の乳房内注入だけではなく、時には全身投与も有効です。
※抗生物質の使用は獣医師の指示のもとで適正に行って下さい。
2. 乾乳期の管理
乾乳期間中は牛床を清潔に保ち、乳房に異常が無いか確認しましよう。
釧路管内の2農場AとBでは乳汁をチェックし、乳房炎の早期発見と早期治療を行っています。
農場A:PLテストで確認
①乾乳牛の乳房形状のチェック
・1本だけ膨らんでいないか
・シコリが無いか
②異常を感じたらPLテストで確認
③PLテスト時に採材したサンプルをNOSAIで乳汁検査
④結果を見て治療
農場B:乳汁性状で確認
①分娩2週間前~分娩までの間に乳房の異常をチェック
・形状や触れた時の熱っぽさ等
②異常が感じられた場合、乳汁の性状を確認
・水あめ状:正常と判断
・水っぽく液状:乳房炎と判断し治療
◆乳房異常のサイン
・ある分房だけ膨らんでいる
・硬い
・シコリがある
・乳汁を搾ると不均質で混濁がある
・PLテストで陽性になる
乳質改善は日々の地道な対策が重要です。
乾乳期においては新規感染を防ぐための予防を重視し、早期発見・早期治療に努めましょう
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