乳質改善は儲かる その四
~牛体衛生からはじめる乳房炎予防~
乳房炎は乳頭口から原因菌が侵入することで起こります。
乳房炎菌が好む環境は湿潤で栄養(有機物)が豊富な場所です。
牛体、特に乳頭口周辺を衛生的で乾燥した環境(クリーン&ドライ)に保つ事が乳房炎予防の第一歩となります。
牛床管理
クリーン&ドライな牛床のためには、こまめな除糞と敷料管理が欠かせません。
ポイント
- 牛床全体に敷料を入れ、特に乳房付近は重点的に投入する。
- 石灰資材や衛生資材などを牛床に散布。乾燥、消毒効果が期待できる。
また、効率的で効果的な牛床管理が行えるよう、1日の作業スケジュールに上手に組み込む工夫をしましよう。
こんな事例がありました!
- 起立や採食後に排泄する習性を利用し、給餌やエサ寄せ後のタイミングで除糞している。
- 搾乳直後は乳頭口から細菌が侵入しやすいため、搾乳中に敷料交換し、搾乳後、衛生的な牛床に牛が横臥できるように管理している。
カウトレーナー
つなぎ牛舎ではカウトレーナーの設置が牛体衛生に有効です。
カウトレーナーを利用しているのに牛体が汚れる場合、設置状況(高さや前後)を確認してみましよう。
設置位置が悪いと乳牛にストレスを与え、乳房炎発症リスクを高める結果になりかねません。
※カウトレーナーの設置位置は、当普及センターホームページの技術情報のページ(「牛体をきれいに保とう」)で紹介しています。
こんな例がありました!
カウトレーナーを低く設置。
牛体きれいにならず、牛足をあげるなど神経質だった。
↓
牛体よりこぶし1つ分の高さに改善。
調整後、牛体の汚れはなくなり、牛も穏やかに。
泥濘化の防止
糞尿など水分を含んだ土が蹄で練られ、ぬかるみとなります。
パドックや牛舎の出入口、牛道、給水施設付近が泥濘化しやすいのはそのためです。
泥濘化しやすい場所は、ぬかるみがひどくなる前にバケットなどで表層を除去しましよう。
作業は直線で行えるようにするなど、掃除しやすい環境を整えておく事も大切です。
また、排水性や地盤の改善で泥濘化しにくい環境を作ることができます。
こんな事例がありました!
パドックにマウンドを設置。
2~3年毎に黒ボクを投入し、メンテナンスしている。
毎日の地道な管理の積み重ねが乳房炎予防につながります。
クリーン&ドライな農場で乳房炎ゼロを目指しましょう。