普及センターコーナー

サイレージは発酵品質が命!

 今年もあと少しで、サイレージづくりの季節がやって来ます。
 昨年を振り返ると、牧草収穫開始時期に降雨が続いていることがわかります(図1)。

図1 平成26年6月における降水量

 現場では、突然の降雨や雨上がり後の作業のため、サイレージの品質が悪くなったという事例が多いと感じています。

○降雨の影響は?
 雨が降ったときに作ったサイレージ品質はどうなっているでしょうか。
 そのようなサイレージは発酵品質の良さを示す乳酸含量は低く、不良発酵に多い酪酸含量は高くなります。

表1 降雨時に調整した牧草サイレージの発酵品質

 このようなサイレージを牛に給与した場合、泌乳量は減退、疾病も増加してしまうことは皆さんの承知のとおりです。
 今回の便りでは、原料草の水分が高すぎる場合、不良発酵抑制効果が期待できるギ酸添加についてお伝えします。

○乳酸発酵におけるギ酸添加の意味
 乳酸発酵では、原料草の呼吸によりサイロ内の酸素は減少、乳酸菌活動は活発になり、原料草pHが下がって品質は安定します。
 ところが原料草水分が80%近くになると、酪酸菌の活動が活発になり、乳酸菌の活動は阻害されます。
 ギ酸を適切量添加すると、一時的に原料草pHを低下させるので、乳酸菌が主役となり乳酸発酵が進みます。

○ギ酸添加における注意点

  1.  添加の目的を意識する(原料草水分が80%近くになったら)
  2.  ギ酸は強酸なので人体や車輛にかからないよう注意
  3.  原料草pHが4.2以下に下がっているか判定紙で確認する、4.2以上であれば添加量を増やす
  4.  原料草に合わせた量を添加する(表2)。

表2 ギ酸添加量の目安
 
ギ酸の添加は本来、予乾作業が難しい地域で、不良発酵を抑えるために行われる作業です。
 乳酸菌添加とどちらが良いかではなく、天候(牧草水分)に応じて対処できるよう両方を準備することが大切だと思います。
 サイレージは発酵品質が命です!

写真1 ギ酸入りタンクの交換作業

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