サイレージは発酵品質が命!
今年もあと少しで、サイレージづくりの季節がやって来ます。
昨年を振り返ると、牧草収穫開始時期に降雨が続いていることがわかります(図1)。
現場では、突然の降雨や雨上がり後の作業のため、サイレージの品質が悪くなったという事例が多いと感じています。
○降雨の影響は?
雨が降ったときに作ったサイレージ品質はどうなっているでしょうか。
そのようなサイレージは発酵品質の良さを示す乳酸含量は低く、不良発酵に多い酪酸含量は高くなります。
このようなサイレージを牛に給与した場合、泌乳量は減退、疾病も増加してしまうことは皆さんの承知のとおりです。
今回の便りでは、原料草の水分が高すぎる場合、不良発酵抑制効果が期待できるギ酸添加についてお伝えします。
○乳酸発酵におけるギ酸添加の意味
乳酸発酵では、原料草の呼吸によりサイロ内の酸素は減少、乳酸菌活動は活発になり、原料草pHが下がって品質は安定します。
ところが原料草水分が80%近くになると、酪酸菌の活動が活発になり、乳酸菌の活動は阻害されます。
ギ酸を適切量添加すると、一時的に原料草pHを低下させるので、乳酸菌が主役となり乳酸発酵が進みます。
○ギ酸添加における注意点
- 添加の目的を意識する(原料草水分が80%近くになったら)
- ギ酸は強酸なので人体や車輛にかからないよう注意
- 原料草pHが4.2以下に下がっているか判定紙で確認する、4.2以上であれば添加量を増やす
- 原料草に合わせた量を添加する(表2)。
ギ酸の添加は本来、予乾作業が難しい地域で、不良発酵を抑えるために行われる作業です。
乳酸菌添加とどちらが良いかではなく、天候(牧草水分)に応じて対処できるよう両方を準備することが大切だと思います。
サイレージは発酵品質が命です!