繁殖成績改善のために
近年、乳牛の高泌乳化に伴って分娩間隔が長期化する傾向が続いています(平成25年の道内平均は432日)。
分娩間隔の長期化は産子数や乳量の低下に繋がるため改善が望まれます。
今回は、平成26年度にオホーツク管内で実施した繁殖管理の現状把握と改善に向けた方策についてご紹介します。
1.調査対象
オホーツク管内で経産牛1頭あたり乳量が9500kgを超えている農家(平成26年7月の牛群検定平均)を対象としました。
調査した酪農家のうち、分娩間隔が410日以下の13戸を優良事例、430日以上の4戸を改善事例としました。
2.結果
- 初回授精開始日数
優良事例の初回授精開始日は83日、改善事例は96日となっており(表1)、分娩間隔の長期化の要因として初回授精開始日数の遅れが起因していることがわかりました。 - 繁殖管理技術
チェックシート(表2)により発情観察時間や妊娠鑑定などの繁殖管理作業に係る項目の実施率を比較したところ、優良事例では89.7%、改善事例では38.9%となり、2倍以上の差となりました。 - 繁殖管理作業のルール化
優良事例では、発情観察、記録、初回受精開始日、人工授精、妊娠鑑定、繁殖治療に関する作業についてルールを作り、常に一定した対応を迅速に実施していることが分かりました。 - 分娩前後の栄養管理
優良事例では乾物摂取量、飲水量の向上を図るための餌寄せ、水槽の清掃を徹底している事例や、カルシウム剤、ビタミン剤、栄養剤などの投与について自らマニュアルを作成し綿密な栄養管理を実施している事例が見られました。
3.まとめ
以上の結果から、繁殖成績向上のためには、①初回授精開始日数の早期化、②繁殖管理作業の確実な実施、③繁殖管理作業のルール化、④分娩前後の綿密な栄養管理による健康状態の維持、が必要だと整理されました。
成果が目に見えるまで時間がかかりますが、自家で不足している部分に取り組んでいきましょう。
各項目に関する優良農家の具体的な改善事例につきましては、またの機会に紹介します。