効率的な搾乳のためのポイントについて
泌乳生理に合わせた搾乳作業は、搾乳時間短縮や乳房炎予防など効率的な搾乳の要です。
今回は乳頭刺激からミルカー装着までの作業に着目しました。
泌乳生理に合わせた搾乳
乳汁の約6割は乳腺胞に貯留しています。
これをオキシトシン(乳汁降下ホルモン)の働きにより乳腺槽に降ろす事で、始めてミルカーで搾ることができます。
泌乳生理に合わせた乳頭刺激とミルカー装着がオキトシンの効果を最大限に活かすポイントです。
【ポイント】
○ミルカー装着
- オキシトシンの放出が最大の時(乳頭が張ってきます)
- 乳頭刺激から90~180秒後が目安
○前搾り
- 5回以上強めに行う。
【期待される効果】
O搾乳時間の短縮
- オキシトシンの働きで乳汁降下が促進され搾乳速度(1分間当たりの搾乳量)が速まる。
○乳房炎予防
- 搾り始めに起こる過搾乳が回避され、乳頭ロヘの負担が軽減。
(事例)泌乳生理に合わせた搾乳手法への変更とその効果
乳頭刺激が弱く、ミルカー装着タイミングが早かった農場で、搾乳手法を変更し、従来の搾乳時と変更後をラクトコーダー(※)で測定、比較した事例です。
※ラクトコーダーとは…
ラクトコーダーは分毎の生乳の流量が測定できる機器です。
搾乳刺激やユニット装着・離脱のタイミング等の点検に使われます。
○従来の搾乳手法時(図1)
搾乳刺激が不十分なため、一時的に流量が低下していました。
この時、乳頭口先端に負担がかかっていることが想定されます。
○搾乳手法変更後(図2)
ミルカー装着後すぐに流量がピークに達しました。
十分な乳頭刺激によるオキシトシンの放出とそのタイミングに合わせたミルカー装着の有効性が確認できました。
(提案)できる事から始める!
「ミルカー装着タイミングを変えるのは難しい」と思ったら、まずは「前搾りの徹底」から始めてみてください。
前搾り5回以上を実践した方々からは「ミルカー装着時の乳房の張りが良い」「搾り切りが良い」「搾乳時間が短くなった。」などの声が聞かれています。
効率的な搾乳にむけ、できることからはじめてみませんか?